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インタビュー 安倍昭恵さん

子供こそが平和を作っていける

2013年12月3日

安倍昭恵

日本協会ニュース第6号(2013年12月)

『子供こそが平和を作っていける』

安倍昭恵さんは1973年、11歳の時(当時小学校5年生)に、カナダのオタワにてビレッジに参加しました。昭恵さんに当時のことを伺いました。

当時はどういった経緯でビレッジに行かれたのですか?

当時は学校推薦でした。子供の頃の私は、今では想像がつかないかもしれませんが(笑)、とても消極的でしたので、世界の子供たちの中で一ヶ月も過ごせば積極的になるのではないか、という先生のご配慮があったのではと思っています。

ビレッジで過ごした4週間、どんな思い出がありますか?

キャンプではいろいろなことがありました。毎晩のリーダーの見回り後、時々子供たち同士の暗黙の了解で、全員で『暴動』を起こしていました。夜中に皆で起きて騒ぐのが楽しかったという、ただそれだけのことなのですが、他の日本人の子供たちと『今日は暴動がおこるらしいよ』と言い合って、その時が来るのをドキドキしながら待っていたのを思い出します。

中泊時、そばに湖があるおうちに泊まりました。天然の亀の横で泳いだこと、蛇口の水が出なくて天然水で歯を磨いたのも初体験。キャンプ中大きな飛び込み台からジャンプして、かなり深く沈んでしまい慌てたことも、振り返るとよい思い出です。

浴衣を着て花笠音頭も踊りました。カナダやグアテマラの女の子たちととても仲良くなって、衣装交換会ではカナダの子に浴衣をプレゼントしましたね。

CISVを通じて学んだな、と感じることはありますか?

キャンプ中は何も考えないで素のままで皆と接していました。ですから誰でも皆同じ人間なのだからきっと通じ合えるということを、肌で感じていたように思います。大人になった今、多くの海外の方とお会いしますが、言葉や文化が違っていても、ちょっとした壁は越えられる、と思うのはCISVの体験から来るものかもしれません。

ご活躍されている現在、CISVとは今でもかかわりを持っていますか?

2007年、ビレッジで日本に来た子供たちを首相官邸にお招きしました。子供たちは池にいる鯉をめずらしがったり、全員輪になりCISVソングを歌ったり、とても楽しいひと時でした。また数年前にもホームステイのホストを経験しました。

今年オタワを訪問する機会がありました。今まで何度もカナダは訪れていますが、オタワはCISVの時以来初めてでした。ハーパー首相との歓談時、『オタワは初めてですか?』と聞かれたので、『じつはCISVで訪れた経験があります、当時滞在したカールトン大学の宿舎の一部は本当に美しくて子供ながらに感動した事を思い出します。』というお話しをさせていただきました。

CISVは昭恵さんにとってどういう存在でしょうか?

一言では言えませんね。子供のころの特別な思い出です。当時は簡単に海外に行くのは難しい時代でしたが、言葉も文化も違う同じ11歳の子供たちが集うキャンプに参加できたことは、私の中では貴重な体験です。周りの大人たちに本当に感謝しています。

ファーストレディとして大変ご活躍されていますね。ミャンマーに学校を作られた、と伺いました。

はい、アフリカの貧困層の視察後、たまたまミャンマーにご縁があり、寺子屋を運営しているお坊様たちの支援をしています。今年まで11回もミャンマーを訪問させていただきました。

これから子供たちをCISVに参加させようと考えていらっしゃる方へメッセージをいただけますか?

子供の時に他国の子供たちと実際に触れることはとても大切だと思います。今は情報を取ろうと思えばいつでも簡単に取ることができる時代です。でも人間同士が集まって何かを一緒に体験したり、楽しい感情だけでなく、つらいこと、悲しいこと、いろいろな感情があふれる経験をすることは大切です。一方で人間は皆一緒、その逆にひとりひとりは皆違う、ということもなんとなくわかるのがこの年齢だと思います。そういった事を大人になる過程で体験できるのはとても大切な事なんじゃないかと思いますね。

私はこう思うんですよ。子供こそが平和を作っていけるのでは、と。大人になると利害関係が邪魔をして、純粋に世界平和に貢献する行動をとりづらくなります。どうすれば皆が戦争をせず平和に仲良く暮らしていけるか、それに対して自分は何ができるかを素直に話し合う事は、子供だからこそできるのだろうと思います。

CISVerとして、これからのCISVはどうあればよいと思いますか?

何十年もたって大人になったCISVerは、さまざまな方面でご活躍されている方が多いと思います。けれども当時は今のようにネットも発達していなかった時代ですから、CISVerとのつながりが途切れてしまっています。子供時代のひと時でも一緒に過ごした体験を共有しているCISVerのネットワークは、とても貴重なものです。たとえば世界のCISVerに呼びかけて、日本を再訪問してもらう機会を作ってはどうでしょう。そうすれば私たちの国の良さをもっと多くの人に知ってもらえるのではないか、と思います。世界のCISVerが日本に大集合、なんて考えると素敵なことですよね。大人になった今こそ、もっと交流を活発にできれば素晴らしいことだと思います。