サイトへ戻る

関東支部「ふくしま・それぞれの物語」開催報告

2019年8月11日~24日、福島県飯舘村

2019年9月14日

 2年前から手探りで準備を始めたIPPがとうとうこの夏に開催された。場所は福島県飯舘村。2011年3月の福島第一原子力発電所の事故による影響で村民は6年間避難生活を続けた後に再生が始まったばかりの村である。
 今回のIPPのテーマは「Stories of Fukushima, Exploring Stigma and Inspiring Actions」。世界から見る原発事故のあった福島のイメージと実際の福島県飯舘村はどうだろう。震災から8年の間には飯舘村にはいろいろな物語(ストーリー)がある、それを実際に世界からくる参加者に知って欲しいという思いがあった。
 2週間のプログラムで、前半1週間は村内を周って現状を学び、盆踊りに参加して村の文化に触れ、参加者同士のTheme based activities(TBA)でお互いに学ぶ、後半はその上で参加者は自ら考えて活動するという構成で臨んだ。そして前半と後半の間の週末には、飯舘村の村民宅に1泊2日のホームステイを組み入れた。通訳のボランティアと共に6つの家庭に分かれた参加者たちは、農作業を手伝い、バーベキューを楽しみながらも、各家庭の震災からこれまでの飯舘村への思い、子や孫への思い、農業や牧畜を再生する決意に触れ、とても深い交流ができたようだ。
 後半は参加者主体の活動へ。参加者の心に強く響いたホームステイで出会った人々の思いをビデオインタビューで世界へ発信しよう、FacebookなどのSNSで村の人々の様子を発信しよう、地区の運営する新しい試みのキャンプサイトに村民と一緒に丸太でベンチを作ろう、と3つに分かれ始まった。タイトなスケジュールの中、夜遅くまで楽しくも真剣に取り組み、最後に開いた交流会ではビデオをお披露目することができた。Facebookでは「Stories of Iitate」として参加者が発信し始めている。ベンチにはCISVの名を刻んだ。
 IPPは地域の課題に協力団体とともに取り組むというプログラムであるが、今回は飯舘村の人々と深く交流したことで地域の課題に参加者なりの活動で取り組んでいったと思う。そして参加者の心に「あのホームステイのお父さんお母さんのいる飯舘村」という具体的なイメージができたのではないか。このような交流が、福島の問題を他人事とせず、自分たちの問題でもあると考えるきっかけとなれば、とても嬉しい。
 このIPPの開催にあたってご協力くださった飯舘村役場、ふくしま再生の会、関口グローバル研究会の皆様、そしてサポートしてくれた仲間と素晴らしい参加者に深く感謝している。

ディレクター 木村緑