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追悼:

第2代会長 中曽根康弘氏を偲んで

2020年4月5日

 創立期から長年に渡り、CISV会長としてご活躍くださった中曽根康弘氏のご逝去のニュースが昨年11月29日に伝えられたとき、大変残念に思うとともに、CISVerとしてご一緒させていただいたときの思い出を、これからも大切にしたい気持ちで胸がいっぱいになりました。
 1961年春、お子様の美恵子さんをCISVのアメリカでのビレジに派遣なさることが決まったとき、同年開催のイギリスのビレッジのリーダーになった大学生の私は 、会長様に初めてお目にかかりましたが、その堂々たるお姿と美声に圧倒されました。もう60年近く前になります。桑野達平氏の後を引き継いで、第2代会長にご就任なさった翌年1962年夏、国際基督教大学のキャンパスで第1回日本大会が開催され、大会委員長をお引き受けくださいました。私もスタッフとして参加しましたので、開会式でのウエルカム・スピーチから始まって、いろいろな行事やプログラムに積極的に関わって下さったお姿を、いまでもはっきりと覚えております。暑い夏空の下で、子供たちに竹馬の乗り方を披露したり、プールで一緒に泳がれたりして、世界の子供たちとのひとときをとても楽しまれていらっしゃいました。箱根に一泊旅行いたしましたが、その時も参加してくださり、夕食後に浴衣姿の各国リーダーと気軽に話され、友好の輪を広げられたことでしょう。
 副会長でいらした故渥美健夫氏をはじめ、会員のご父母の方々と共に日本での初めてのキャンプを成功裏に導かれ、CISV日本協会の土台を築かれた功績は計り知れません。会長を退任なされた後も、CISVに対するご関心を持ち続けてくださったことは、首相官邸にビレッジに参加した子供たち、そして創立者故ドリス・アレン博士をご招待くださったことでよくわかります。
 CISV日本協会50周年記念誌の作成にあたり、久しぶりにお目にかかりましたが、会長をなさっておられたときと変わらないCISVへの篤い思いが伝わってきました。記念誌に掲載されているインタビュ―で、海外の国際プログラムに子供を派遣するのは大変難しい時代に、美恵子さんを送りだされた決意を語っておられます。同時に会長のCISV理念への共感と経験が原動力になって、戦後の日本の政治に新しい1頁を開いた有名な出来事も記されています。
 2007年10月開催の50周年記念式典ではお祝辞を述べてくださり、その中でCISV SONGを、’Here in this village you may see..’と 朗々と歌い上げてくださいました。参列者一同、思いもかけないプレゼントに、拍手喝采でした。その歌声は、名誉会長様の忘れられない思い出として、多くの方々の記憶にいつまでも残ることでしょう。
 中曽根康弘名誉会長のご逝去を心より悼み、哀悼の意を表わすとともに、CISV日本協会の発展へのご貢献に心より感謝申し上げます。

CISV日本協会副会長 岩﨑統子