
日 時:2022年2月27日(日)20時~21時35分
出演者:講師及び司会:岩﨑統子(CISV日本協会副会長)
ゲスト 講 師:今井重孝 (青山学院大学名誉教授・教育学博士)
インタビュー:Cathy Knoop (元CISV国際会長)
渥美伊都子(CISV日本協会名誉会長)
Village 参加者:米田至誠、山之内妙子、見明奈央子、越部真
ウェビナー実行委員会:宮崎隆久、米田真央、坂田綾
2022年2月27日に行われたCISV Journeyが終わって、20日が過ぎました。この原稿を書いている3月20日現在は、ロシアのウクライナ軍事侵攻は続いています。このメルマガが皆さんのお手元に届く時には、兵器や武器によらず、話し合いで紛争が終結していることを、現在以上に犠牲者の数が増えていないことを心から願っております。
第1回ウェビナーの参加者、見逃し配信で視聴した方々は、1957年に日本でCISVが創立され、1958年のビレッジ初参加に始まり、1962年の第一回ビレッジ日本初開催にいたった経緯を覚えておられることでしょう。初代会長の桑野達平先生、初期の参加児童の保護者の皆様が、ドリス・アレン博士の「戦争がない平和な世界の構築」の理念に共鳴して、日本で活動を始めて、65年経過しました。そしてこの間、CISVにボランティアとして多くの方々が参加して、日本での活動が続いているのは、ご存知の通りです。
今回最終回のウェビナーは、まずドリス・アレン博士のCISV構築の原点を、ご誕生の1901年から、第2次世界大戦終結の1945年の44年間をたどり、次に1946年から1950年までのCISV創立と1951年第一回アメリカ・シンシナティーでのビレッジ開催までの経緯をまとめました。
原稿を書くにあたり、いろいろ調べていくうちに、私にとっては初めて目にする情報がいくつかありました。そのうちの一つは、アレン先生が1931年から32年まで心理学の研鑽を深めるため滞在したドイツでは、ユダヤ系ドイツ人心理学者のもとで過ごしたことです。ご自身がCISV国際創立25周年の寄稿文に、「CISVは、第2次世界大戦の惨禍、なかでも ある人種の人々が拷問を受け、600万人以上が命を落としたことにショックを受けて、私が起こした行動だった。」(CISV was my respond to the shock of World War II, the shock of the torture and extermination of over 6 million persons who happened to be of a particular variety of humans.)と書かれています。あくまで私の推察になりますが、この文脈の根底には、ナチスの人種偏見による迫害を、ドイツ滞在中ご自身が、身近で目撃した経験も、心のどこかにあったに違いないということです。平和構築の理念の基、プロジェクト実現に向けてどのような努力を重ねられたかは、ぜひ「見逃し配信」でご視聴ください。
CISV国際元会長のCathy Knoopさんが、CISVの理念のみならず、アレン先生のお人柄や、活動を通して学ばれたこと、ご自身の教職の経験でもそれを活かされたこと等を語っておられます。インタビューの最後で、日本CISV協会50周年記念誌を画面でお見せになりながら、「私の考えは、この記念誌に書いたメッセ―ジと今も変りありません。」とおっしゃられていました。記念誌を持っておられない方もいらっしゃると思いますので、原文の一部を転載いたします。
「Doris felt that the lasting peace is possible if individuals and groups can learn to live together as friends. To make this possible we would have to bring young people together from many cultures to develop awareness and form intercultural friendships.」
CISV国際は、今年で創立71年になります。創立者ドリス・アレン博士は、母国のみならず、他の国々でも賞を授与され、ノーベル平和賞にノミネートされたほど、高く評価されています。そこで今井重孝教授をお招きして、教育学者として、また外部者としての立場で、CISVについてのお考えを伺うことにいたしました。「CISVのビレッジ参加者の年齢が、11歳となっているのは意味のあることです。それは、11歳は、CISVの理念である平和を大切に思う人格形成に大切な感性を育てるのにふさわしい年齢だからです。」と心強いコメントを頂きました。またCISVでの経験と自分の生き方を多くの人に伝えることで、活動の持つ意義を広めていくのでは、という助言もいただきました。私自身、先生のお話を何度も視聴し、内容の重みを噛み締めております。
休憩後の第2部で、渥美伊都子さんの、1961年イギリスのアニック・キャッスルで開催されたビレッジ派遣児童の保護者としての貴重なご感想と、上記4名のビレッジ参加者から、それぞれの現在に至るまで、CISV経験が各自の人生にどのように関わってきたのかを話していただきました。皆さんの話が、大変興味深く示唆に富んでいますので、ぜひご視聴いただければと思います。なお第一回ウェビナーで触れられなかった、私のCISV活動の原点となった経験もお話させていただきました。
Covid-19によるパンデミックや、2月24日に始まったロシアのウクライナ軍事侵攻により、世界を自由に行き来できない状況が、予想していたより長く続いています。一日も早く、世界に、特にウクライナに平和が訪れ、そしてドリス・アレン博士の平和の構築を願って始まったCISV活動が、再開できるよう願いつつ最終回の報告といたします。
【見逃し配信は下記URLからご視聴ください】