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STEPスタディツアー実施報告

(2017年11月25日~26日、仙台・石巻・南三陸)

2018年2月11日

 2017年11月25日~26日で、関東支部モザイクプロジェクトのSTEPツアーを実施しました。
 STEPとは、Smile Tohoku Empowerment Projectの略で、2011年の東日本大震災後から実施している、東北(主に東北委員会があった宮城県)でCISVの強みを活かした支援をしようというプロジェクトです。2011年~2013年は石巻で子ども達とアクティビティを実施し、2014年からは仙台や石巻のCISVに縁のある方や現地のNPO等の協力で、被災地の復興の今と人々の生活について聞いて、見て、知って、感じ、考えるツアーを実施しています。
 今回2017年のSTEPツアーでは、1日目午前中に仙台のCISVer武藤都さんのガイドで仙台市内や名取市閖上などを回りました。これまでのSTEPツアーで回ったところも新しく訪れるところもありました。毎年来ているメンバーの間では、この1年で、嵩上げや防潮堤の建設、仮設住宅から復興住宅への移転が一気に進み、以前の景色とは大きく変わったという意見があった一方で、新規参加のメンバーからは復興がまったく進んでいないという意見があり、対照的で興味深いものでした。

 1日目午後は石巻に移動し、旧東北委員会で大変お世話になった浅野さんが建てられた1階は商業施設、2階以上は復興住宅という画期的な複合施設 石巻ASATTE(アサッテ)で昼食をいただき、お話をうかがって、復興資料センターを訪問。その後、東松島市の野蒜地区に場所を替え、被災当時は小学生、今は大学生という地元の学生さんが語り部となって当時の話や現在の地区の状況を案内してくれました。とっぷり暗くなって夜には雄勝のMoriumius(モリウミアス)へ。
 Moriumiusは、NPOが山も海もある雄勝で子ども達が体験学習をできるようにと、廃校をボランティアの力を借りて作り上げた宿泊施設です。2014年のSTEPツアーからボランティアをしたり、宿泊したりしていますが、雄勝の山海の幸満載の食事はみんなが目を丸くし、舌鼓を打ちます。2日目午前中はそのままMoriumiusでボランティア。薪割り、家畜の豚の柵作り、腐葉土用の落ち葉かき等、シニアもジュニアも身の丈にあった身体を使ったお手伝いをしました。これがとても楽しくて気持ちいい。
 お昼前に南三陸へ移動し、2013年のIPP等からお世話になっている畠山水産でこれまた海の幸満載のお昼ご飯を。漁業のお手伝いをする予定でしたが、都合によりキャンセルとなり、ご飯をめいっぱいいただき、お話をお聞きしました。自然が相手なので、予定していたものが早くなったり、遅くなったりは日常茶飯事のようです。

 と、今回のSTEPツアーは内容盛りだくさんで、関東だけでなく他支部からも参加をいただき、また大学生や社会人なりたての若者も多く、かつ保護者の方も参加いただいて、バラエティ豊かで濃厚なものとなりました。それが大変刺激的で体験の幅をぐーんと広げてくれた、CISVならではの醍醐味だと思いました。
 期せずして、野蒜の語り部の学生さん、石巻出身のCISVerで参加者のさりな、一部参加・案内してくれた石巻の2012年IPPのけんしが同世代で揃い、それぞれの視点からそれぞれの体験を語ってくれたのも、今回のツアーの大きなインパクトであり、大きな学びでした。

 スタッフとしてSTEPツアーに関わってきて、翌年の計画を立てる時に、参加者もあまり多くないし、続けていくことに意味があるのだろうかと毎年不安でした。しかし今回終わって、昨今のメディアではあまり伝えられなくなった復興の状況を実際目にし、その場所に立ってそこで生きる人たちの話を聞くこと、見聞きしたこと・学んだことを地元で・SNSで周りの人たちに話し、防災の重要性を伝えアクションを起こすこと、継続して訪れ続けること、「あの時は話せなかった」「自分よりも大変な人がいると思うと言えなかった」という声に外からの訪問者だからこそ耳を傾けられることって、とても大切なことなのだと実感しました。
 なので、2018年もやります、STEPツアー。ジュニアな方もシニアな方も、他支部の方も、CISV外の方も、しばらくCISV離れていた方も大歓迎です。そんな人々が一緒に体験を通して学ぶことができるのが、モザイクであり、STEPです。参加をお待ちしております。

(元被災地支援プロジェクト委員長 宮里かをり)