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IPP参加報告「大人だってCISV! 世界の人々と体験学習」

(2019年8月11~24日、福島)

2020年10月3日

 震災のこと、原発のこと、知らないまま過ごしてきたけれど、来年は東京オリンピックでボランティアもするし、日本人としてこれ以上逃げてはいけないと思い、2019年夏、日本で開催されたIPP(インターナショナル・ピープルズ・プロジェクト) “Stories of Fukushima”に参加しました。参加者は19歳から60代までの9か国からきた男女15人とスタッフ5人、まさにDiversity(多様性)の中でのプログラムでした。

 宿泊は福島・飯舘村の「風と土の家」という新しい施設でした。最初の一週間は各国が自国の災害や問題をテーマにしたアクティビティを行いました。日本のアクティビティの際、事前にインタビューした友人家族数組の原発事故後の人生について私の言葉とスライドで伝えると、皆にも身近な問題として感じてもらうことができました。

 ホームステイ体験でも、ただ「日本の文化を知る」というだけでなく、関口グローバル研究会の協力により、微妙なニュアンスまで通訳してもらえたので、飯舘村の方々の本音の話を聞くことができました。地域の盆踊りにも参加し、福島第一原発も見学しました。

初日に「ここの水は飲めるのか」と不安がいっぱいだった参加者も、美しい景色とおいしい食事、土地の人たちの温かさと心意気に触れ、どんどん飯舘村のファンになっていきました。2週めには、「今ここで私たちは何ができるか」を話し合い、「まずこの村のことを世界に知ってもらい、訪れてもらうことだ!」と、出会った方々の話をビデオに撮り、「飯舘村・それぞれの物語」として世界に発信することが決まりました。インスタグラムとフェイスブックページ、山を眺めるためのベンチも作りました。私は、スペインのオスカーと共にインタビューに回りました。どの方の話も心に響きましたが、中でも「笑ってねえどやってらんねえ」という80代の榮子さんの言葉は忘れられません。榮子さんは避難解除になった時、「やっぱり飯舘に住みたい」と親友の芳子さんと一緒に村に戻ってきました。しかし50年近く大切に育ててきた土は除染対象となり、もう使えません。今は小さな畑で自分たちが食べる分だけの野菜を作っています。農業や畜産をなりわいとしてきた人々が、目に見えない汚染の中で、どうやって笑って生きていくかをたくさん見せていただきました。

 重いテーマではありましたが、飯舘の人々とふれあい、年齢もバックグラウンドも様々な世界の人々と一緒に学び、アウトプットする2週間はとても充実していました。食堂で夜遅くまで語り合ったことも、忘れられません。全員宛に書き合ったメッセージカードは大切なたからものです。

 CISV精神が根本にあるこのIPPに会員・会員外多くの方に参加していただき、その魅力を知っていただきたいと思います。

関西支部 深井美貴子(ミキ)